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今のわたしは、立ち上がろうにもフラフラして、ムリに歩いたら倒れてしまいそう。
「大丈夫ですか? 貧血?」
立ち上がる様子のないわたしに、ひよりちゃんが心配そうに言った。
「大丈夫、生理の貧血だから、だいじょうぶ……」
そう言って立ち上がろうとしたのだけど、ダメだった。
「大丈夫じゃないですね。
菊乃さん、駅員さんに話して、どこかで少し休ませてもらいましょう?」
情けないけれど、そうするしかない。
今、ここから歩いて事務所に戻るのは、とてもムリそうだし……。
「そうね、そうさせてもらおうかな……」
わたしの言葉にひよりちゃんは、ホッとした顔をして、
「じゃあ、すぐそこに窓口があるから、聞いてきますね」
そう言うと、改札横にある駅員さんのいる窓口にパタパタと走って行った。
ひよりちゃんの走る後ろ姿を見て、あれ、と思った。
妊婦さん? そうだわ、ちゃんと見てなかったから分からなかったけど、ひよりちゃん、妊婦さんだわ。
しかも、お腹、かなり大きくて、重そう。
もしかして、臨月?
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