カルテ10 〝天使〟に会う

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 今のわたしは、立ち上がろうにもフラフラして、ムリに歩いたら倒れてしまいそう。 「大丈夫ですか? 貧血?」  立ち上がる様子のないわたしに、ひよりちゃんが心配そうに言った。 「大丈夫、生理の貧血だから、だいじょうぶ……」  そう言って立ち上がろうとしたのだけど、ダメだった。 「大丈夫じゃないですね。 菊乃さん、駅員さんに話して、どこかで少し休ませてもらいましょう?」  情けないけれど、そうするしかない。 今、ここから歩いて事務所に戻るのは、とてもムリそうだし……。 「そうね、そうさせてもらおうかな……」  わたしの言葉にひよりちゃんは、ホッとした顔をして、 「じゃあ、すぐそこに窓口があるから、聞いてきますね」  そう言うと、改札横にある駅員さんのいる窓口にパタパタと走って行った。  ひよりちゃんの走る後ろ姿を見て、あれ、と思った。  妊婦さん? そうだわ、ちゃんと見てなかったから分からなかったけど、ひよりちゃん、妊婦さんだわ。 しかも、お腹、かなり大きくて、重そう。 もしかして、臨月?
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