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緒方君から聞いて情報を得ていたご主人のうつのこと。
向こうにも弁護士が付いた為にこんなとんでもない額の慰謝料が請求されるとこになった、ということ。
そもそも、どうしてこんなに拗れることに?
そのことに話しが及んだ時、わたしは少し厳しく聞いた。
『ご主人のご病気のこと、どうして話してくださらなかったんですか』
内容証明から分かった事があった。
相手方、ご主人の近藤蓮さんは、結婚前からうつを患っており、それを恵果さんも了承の上婚姻関係を結んだ。
そこには、この病気と共に向き合い支え合う、という約束の元に一緒になった、ということも記されていた。
それを、恵果さんが一方的に投げ出した。
ならば、慰謝料を、というのが経緯となる。
これは、マズイ。
こちらとしては非常に分が悪いことになる。
わたしとしては、彼女からもう少し詳しく事情を聞いて、立て直す必要があり、焦る気持ちで一杯だった。
『すみません、本当に』
わたしに聞かれ頭を下げた恵果さんは泣いていた。
辺りを憚らずに泣く恵果さんに、わたしは慌てて周囲にお愛想笑いを振り撒いた。
キツく言ってごめんなさい、泣かないで、とわたしは恵果さんをなんとかなだめる。
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