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『実は近藤さんのご主人のカルテに、ちょっと気になることがあるんだ。
それにちょうど、今週末、予約も入っていた。
また何か分かるかもしれない――』
短いものだったけれど文末にちゃんと、今晩また連絡する、と書かれていた。
思わず、携帯を抱き締めて、目を閉じた。
大丈夫、頑張れる。
☆
「菊乃、どうしたのその顔色!」
「まあ、菊乃ちゃん、大丈夫!?」
フラフラしながらなんとか事務所に辿り着き、デスクに着いたわたしに蓉子先生とこのみさんが揃って声を上げた。
大げさです、と苦笑しながらわたしは言う。
「生理前の体調不良ですから、ご心配なく」
なんだ、そうなの? と蓉子先生。
このみさんは、冷蔵庫に行き、栄養ドリンクの小瓶を出して来た。
「そう言えば、菊乃ちゃんは生理前に体調悪くするタイプだったわね。
ほら、これ飲んでおきなさい」
このみさんは、鉄分が取れる栄養ドリンクをわたしに渡してくれた。
気が利くこのみさんは、様々なものをぬかりなく事務所に備えてくれている。
「さすが、このみさん。
ありがとうございます、いただきます」
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