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正義であろうとなかろうと、勝てば良い。
その為だったら手段は選ばない。
それが玲さん。
社会的地位が確立されている人間である分、ヤクザよりタチが悪い。
駄目だ、このままじゃ。
恵果さんが追い詰められる。
わたしはゆっくりと深呼吸して恵果さんに言った。
「ともかく、お父様にはご心配には及びません、これ以上のご迷惑は掛からないようにいたしますってわたしの方から伝えておきます」
恵果さんが涙声で、大丈夫でしょうか、と言う。
「大丈夫です。
恵果さんは、わたしの大事なクライアントです。
クライアントを守るのが、わたしの仕事ですから。
恵果さんは、わたしが守ります」
――わたしが守ります。
この言葉を口にした事で、一年半前の苦い記憶が蘇った。
わたしは同じ言葉を、とある女性クライアントさんに、言った。
あの時の相手の弁護士も今回と同じ――、
「お願い、します……」
ウッウッという嗚咽に混じって恵果さんの声が聞こえ、わたしはハッとした。
クライアントさんの『お願いします』という言葉。
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