カルテ11 過去にサヨナラ

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 遼太の息を吐く気配が感じられた。 「なんだ、そういうことだったのか。 菊乃と一緒だったのか」  遼太、怒るんじゃないかしら、って思ったけれど、安堵したような声を聞いてわたしの、荷を背負っていたかのように重かった胸が、少し軽くなった。 「どこかで具合悪くなったりしたのかと思って心配してたんだ。 具合悪かったのは菊乃か」  笑いながら話す遼太に、わたしの胸がまた少し軽くなる。 「で、菊乃はもう平気なのか?」  わたしへの気遣いも忘れない遼太。 昔からそうだったわね。 優しいの。 「大丈夫、ひよりちゃんに助けてもらったから。 それより、ひよりちゃんは?」  遼太は抱いている子供をあやしながら「ひよは大丈夫だ」と答えた。 「無事、入院させたから」  ドキッとした。 やっぱり、わたしを助けてる場合じゃなかったんじゃないの? 「もう生まれそうなの?」  少し心配になって聞くと。
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