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遼太の息を吐く気配が感じられた。
「なんだ、そういうことだったのか。
菊乃と一緒だったのか」
遼太、怒るんじゃないかしら、って思ったけれど、安堵したような声を聞いてわたしの、荷を背負っていたかのように重かった胸が、少し軽くなった。
「どこかで具合悪くなったりしたのかと思って心配してたんだ。
具合悪かったのは菊乃か」
笑いながら話す遼太に、わたしの胸がまた少し軽くなる。
「で、菊乃はもう平気なのか?」
わたしへの気遣いも忘れない遼太。
昔からそうだったわね。
優しいの。
「大丈夫、ひよりちゃんに助けてもらったから。
それより、ひよりちゃんは?」
遼太は抱いている子供をあやしながら「ひよは大丈夫だ」と答えた。
「無事、入院させたから」
ドキッとした。
やっぱり、わたしを助けてる場合じゃなかったんじゃないの?
「もう生まれそうなの?」
少し心配になって聞くと。
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