カルテ11 過去にサヨナラ

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わたし、真の意味で、吹っ切れた気がする。 今、本当に新たな一歩を踏み出せる。  じゃあ、一歩踏み出す先にいるのは、誰?  フッと脳裏に湧いた自問に、トクン、という心地よい鼓動を感じ、わたしは目を閉じて息を吐く。 その時、不意に遼太が言った。 「誠に会ったんだって?」  心地良い鼓動だった筈の拍動が一気に、どっきん、という大きな脈動に変わりビックと震え、わたしは携帯を落としそうになった。 慌てふためき、携帯を反対の耳に当て、答える。 「え、ああ、そうなの。 仕事で、久しぶりに会って……」  デートもした、とは言えなかったけど。 心を読まれた、と思ってしまうほどタイムリーな遼太の言葉に、わたしは恐る恐る聞いた。 「遼太、緒方君と今でも会ってるの?」  少しの間があったように思う。 一度息を吐く気配があった後、遼太が言った。 「ずっと会ってる、と言いたいところだが、実は、10年くらい前に一回切れた」 「そう、なの?」 「ああ……、アイツ、友人知人、との関係を、絶った時期があるんだ。 その時に、ちょっとな」
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