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緒方君は、どんな風に、わたしのことを?
気になって、気になって、今、わたしの中はもう――、
「菊乃なら、大丈夫だ」
そう話した遼太の声が、わたしの耳を通して、胸の中に拡がった。
「あとは、菊乃次第だ」
「わたし、次第……」
おうむ返しに呟くわたしに遼太は、そうだ! と明るく言っていた。
わたしの気持ちは、もう決まってた、気付かないうちに、緒方君に傾いていた。
その後、少し遼太の言葉を聞いて力を得たわたしは最後に「ひよりちゃんによろしくね」と伝えて電話を切ったわたしは、手の中のそれを見つめて心の中で呟いた。
バイバイ、遼太。
やっと、さよなら出来た。
わたし、吹っ切れた。
再びシンと静まり返った誰もいない事務所は、時計の音だけが、コチコチと響いていた。
わたしは目を閉じた。
遼太が力をくれた言葉を反芻する。
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