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ひよりちゃん! と言おうとしたら。
「大丈夫! はい、今からお家に帰って直ぐにママに病院まで送ってもらいます!
だから心配しないでね!
じゃあね、切るからね」
ひよりちゃんは慌ただしくそう言って電話を切ったようだった。
直後、衝立から顔を出した。
「菊乃さん! もう起きて大丈夫ですか?」
起き上がっていたわたしを見て一瞬驚いた表情を見せたひよりちゃんは心配そうな顔で聞いた。
大丈夫? と聞かれるべきはあなたよ。
わたしは苦笑いしてしまう。
「だいぶ楽になったわ、ありがとう。
それより、ごめんなさい、今の電話ちょっと聞いてしまったの……駄目じゃないひよりちゃん、自分の身体も大事にしなきゃ」
ひよりちゃんはわたしの言葉に、困った顔をして肩を竦めた。
「わたしは平気です。
初めての子じゃないから。
みんな心配性なんですよ」
そう言ってアハハと明るく笑ってみせたけど、わたしは気が気じゃなくて。
「そんなこと言ってないで。
ほらひよりちゃんは帰らなきゃ。
わたしはもう大丈夫だから、心配しないで」
そうですか? と心配そうにわたしを見るひよりちゃんを、帰るように促す。
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