111人が本棚に入れています
本棚に追加
「ひよはずっと、女の子が欲しいなって話しててさ」
そうか、それで四人目……。
「で、今度は?」
遼太が、んー、と唸る。
「恐らく、女。
でも生まれてみないと分かんねーな。
俺はどっちでもいいんだけどさ。
ひよも赤ん坊も元気なら」
そうね、とわたしが答えると遼太が「ところで」と話しを変えた。
「今日はどうした? 何かあったか?」
ああ、そうだった。
5年ぶりという久しぶりの電話。
何でもなければ掛けたりしない事、遼太も分かってる。
わたしは軽く深呼吸をして気持ちを整えて口を開いた。
「実はね、わたし今日駅でひよりちゃんに助けてもらったの。
そのお礼を言いたくて」
え? と言ったまま言葉を詰まらせた遼太の様子が電話を通して伝わってきた。
やっぱり、ひよりちゃんは話していないのね。
わたしはゆっくりと説明を始めた。
「わたし、立川駅で貧血起こして歩けなくなって座り込んでしまったの。
その時に声を掛けてくれたのがひよりちゃんだったの。
ごめんね、ひよりちゃんが大変な状況だなんて知らなかったから、わたしが少しよくなるまで付き合ってもらっちゃったの」
最初のコメントを投稿しよう!