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そんなわたしを見て玲さんがフワリと笑った。
「手、出して」
「手?」
「そう、左手」
わたしは言われるままに左手を出した。
玲さんは、わたしの手を大きな手でそっと包み込んだ。
すると。
「玲さん……!」
どこから出して来たの、これは!?
玲さんの手が開くと、わたしの薬指に大きなダイヤ。
薄暗い間接照明を目一杯取り込んだ石がキラキラと光り輝いていた。
玲さん、いつのまに忍ばせていたの?
言葉も出ずに指輪がはめられた手を凝視していたわたしの顎にすっと指が掛かり、顔をクイッと上に向けられた。
視線の先に、玲さんの切れ長の涼やかな目。
その中に、いつもより少し、熱を感じた。
「菊乃、僕と結婚するんだ」
ストレートな言葉。
というか、完全に命令形?
相変わらず、わたしに拒否権を与えないつもり?
それに、今?
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