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翌日は、土曜日だった。
祝日になっており、事務所はお休み。
二日酔いでダウンしたわたしにとってはラッキーと言うべきか。
と思ったけれど、そうでもなかった。
「きくのっ、いつまで寝てるの!」
10時過ぎまで自室のベッドでゴロゴロとしていたわたしの元に、母が来た。
ドアを勢いよく開けて入って来た母は、藍色の着物に白い割烹着。
夏の朝、その恰好は涼しげなのか暑苦しいのか、よくわからない。
「いやだ、このお部屋お酒臭いと思ったら、あなた夕べ帰って来てからまた呑んだのっ」
母の視線は部屋の中央に据えてあるテーブルの上。
そこには一升瓶と呑みかけのグラス。
しまった、片づけるのを忘れていた。
夕べ、帰って来たわたしは、呑み直そうとお勝手の冷蔵庫から頂き物の大吟醸を冷で……。
「ああもう、私の大好きなお酒をこんな……」
呆れてぼやきながら母はエアコンを止め、カーテンを開け、窓を全開にした。
「お、おかあさんっ、いやだ部屋が外から丸見えになるじゃないの!
それに暑っ!」
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