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玲さん、少し変わった気がした。
柔らかくなった?
夕べは気付かなかったけれど……。
「夜なら構えるだろうけど、昼ならさほど気にならないだろう?」
断る理由は、見つからなかった。
そうだ、夕べは先日の案件の事、あまり話せなかったし、今日はちゃんとお礼をしよう。
わたしは玲さんからのデートの誘いをお受けすることにした。
車で家まで迎えに来てくれて、わたしを乗せた玲さんはどこへ行くのかしら、と思ったら……護国寺にある立派な庭園を持つホテルだった。
地下駐車場へ入って行くと建物への入口近くのスペースが空いていたのでそこに車を停めた玲さんが言った。
「ああ、菊乃、少し待っていてくれ」
助手席のドアノブに手を掛けていたわたしが、え? と玲さんを見ると、玲さんはもうすでに車から降りていて、サッと前を回ってこちら側に来た。
まさか、と思っていると案の定。
「どうぞ」
玲さん、助手席のドアを開けてくれた。
思い出した。
そうだわ、お付合いしていた時、車で出かけた時はいつもこうしてドアを開けてエスコートしてくれた。
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