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「私ね 好きになっちゃってるんだ」 声が震えそうなのを堪える。 「だから...こういう事されると なんていうか、変に期待しちゃうの」 彼女がいて、私なんか眼中にも無いのは 分かりきっているのに 頭は自分の都合に良いように働いてしまう。 自惚れているようで そんな自分が嫌だった。 私はジュースを彼に返すよう突き出す。 彼を見ると 少し驚いた顔をしていた。 「悪い、ついお前は話しやすいから」 彼は私からジュースを受け取って 立ち上がり私の隣から離れ フェンスにもたれかかる。 話しやすい...か。 嬉しいのに、嬉しいはずなのに胸が苦しい。 「やだ謝んないでよ笑 私が勝手に思ってただけだから」 口角を上げようと努力するも 引きつってしまいそうになる。 無理に目を細めれば 何かが滲んでしまいそうになる。 「大丈夫だよ?全部分かってるから」 だって彼には相手がいる。 私に入る隙がないのも分かってる。 ただ、伝えたかっただけだから。 彼は小さく おー、と頷くだけで 他に何も言わなかった。 他に何か言える言葉無いの?と 一瞬だけ思ったけど 逆に良かったのかもしれない。
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