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やがて、狼煙間の手は、矢木の首筋辺りを這い始めた。
「ぅ!」
ゾクゾクと背中を何かが這い上り、矢木は慌てて狼煙間の手を押さえる。
「く、首はダメだ!」
「あ?」
「首だけは弱えぇんだよ、俺は! だから、やめろって……」
「弱いって何だよ」
矢木の言葉はむしろ狼煙間を煽ってしまったようで、狼煙間は面白がって首を狙い始める。
「だ、ダメって言ってんだろ……っ!」
矢木の抵抗を抑え込み、狼煙間は執拗に矢木の首をスポンジでさする。狼煙間に後ろから抱き抱えられるような格好になり、更に首を責められ、矢木は眉をハの字に曲げ、哀れに悶えた。
「っ……! ん……!」
矢木は拳を握りしめ、涙目になって震えた。情けない声を上げるわけにはいかない。しかし、このままではそれも時間の問題だった。
「い……いい加減にしろ!」
矢木は、とうとう狼煙間を突き飛ばし、風呂場から出て行く。
「つ……」
浴槽の縁に頭をぶつけた狼煙間は、痛みに顔をしかめながら、矢木が出て行った方を睨んだ。
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