第4章 狼の気持ち

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互いにちゃんと服を着て、リビングのソファに向かい合って座り、矢木は俯いたまま、ぽつぽつと今までの経緯を語り始めた。自分がゲイではないかと思った事、狼煙間の事が気になっている事。そして、それを考えないようにしてきた事もだ。 「……俺さ……お前に迷惑、かけないからさ……こんなの、忘れてくれていいから……それが出来なくても、俺、お前の前から消えてやるよ」 矢木は、ぽつぽつと話し終わった後、項垂れて額を押さえる。狼煙間は口をはさむ事もせず黙って聞いていたが、矢木の話が終わったらしいのを知ると、低く笑った。 「フン……」 「……?」 矢木は顔を上げ、狼煙間を見つめる。狼煙間は、怒るでもなく、侮蔑するでもなく、淡々と呟いた。 「馬鹿が。もっと早く言え」 「!」 狼煙間はローテーブルを乗り越え、今にも唇が触れあいそうなほど矢木に顔を近づける。矢木は当惑し、身を引いた。しかし、狼煙間は更に顔を寄せて、矢木の耳元に口を近づける。 「……抱いてやるよ、矢木」 「っ!」 矢木は狼煙間の言葉に瞠目し、硬直する。狼煙間は突然矢木に口づけ、矢木をソファに押し付けた。
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