第4章 狼の気持ち

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「んんっ!」 矢木は仰天してあがき、狼煙間を引きはがすと後ずさった。 「のっ……! のろ……しま……!?」 あまりの事にとっさに言葉が出ず、矢木は真っ赤になってうろたえている。狼煙間は気にも留めずに矢木の服をめくり上げ、胸に手を這わす。 「~~~っ!!」 矢木はギュッと固く目を瞑ると、狼煙間の手が触れる感触に身を震わせた。 「まっ……や、やめろ……っ!」 狼煙間がズボンに手をかけると、矢木はようやく正気を取り戻して必死にもがく。 「っ……お、お前……!」 「黙ってろよ」 狼煙間は低く命令すると、矢木の上に馬乗りになり、矢木の首筋に噛みついた。狼煙間の重みを感じながら、矢木は拳を震わせる。 こうなることを望んでいたはずだった。 しかし、矢木の胸中に湧いてきたのは、むしろ強い怒りだった。
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