第4章 狼の気持ち

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(何で……こんな事……) 矢木は涙で頬を濡らしながら、怒りに震える。 (俺の事……馬鹿にしてんのかよ……!) 矢木は、狼煙間の顔を苦々しそうに睨み、歯を食いしばる。 「……やめろ、狼煙間!」 「黙ってろ」 狼煙間は、まともに取り合う気がないようで、動きを止める気配もない。しかし、矢木は狼煙間の胸倉をつかみ、狼煙間を引きはがした。 「やめろって言ってんだ!」 「……」 狼煙間は、ようやく矢木の目を見つめて、動きを止めた。矢木は目に強い怒りを込め、狼煙間を睨む。 「同情して俺を分かったつもりか?」 「……あ?」 「お情けで抱いてやったら、俺が喜ぶとでも思ってんのかよ!」 「……」 狼煙間は、不機嫌そうに矢木を睨み、口を引き結ぶ。矢木は、肯定の沈黙と受け取って、そのまままくしたてた。 「同情なんていらねぇ! こんなん馬鹿にされてんのと同じじゃねぇか! ……お前が俺の事好きでもないのに、こんなんしたって意味ねぇんだよ!」 矢木はひとしきり感情的に喚くと、さらに自分が情けなくみじめになったように思えて、苦しそうに口を閉じた。
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