140人が本棚に入れています
本棚に追加
矢木は穏やかなため息をつき、目を瞑った。矢木の安心したような様子を確認すると、狼煙間は、ようやく本題だ、と言うように矢木の顔の横に両手を突いた。
「……じゃあ、これで問題ないな、矢木」
狼煙間は、どこか嬉しそうな声音で確認する。
「……? ……なにが?」
矢木はキョトンとして狼煙間の言葉の意味を量った。狼煙間は、さも嬉しそうに言葉を付け加える。
「お前を抱く事だ」
「!」
狼煙間は矢木の両腕を頭の横に押さえつけると、悠然とほほ笑んだ。
「……だ、抱く……って……」
「言っただろ。“俺はお前を抱きたい”」
狼煙間の言葉に矢木は耳まで真っ赤になって、情けなく眉尻を下げる。
「なっ、何で俺が下って決まってんだ!」
「決まるも何も、当たり前だろ」
「ちょ、ふざけん……うぁ……!」
狼煙間は、もがく矢木の首筋を舐め上げ、矢木は思わず声を上げる。
「ま、待て、狼煙間! 冷静に話し合おう……な!」
「一人で言ってろ。俺は忙しい」
「っ、ぅぅ!」
矢木がどうあがいても、狼煙間は一向に退く気配がなかった。
最初のコメントを投稿しよう!