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第一話 図書室の眠り猫シキ
ここ茜色学院の図書室には猫がいる。
受付の机の上で常に身体を丸めて眠っていて、眠りながらも来訪者の送り迎えを数十年している、図書室の管理人的存在な猫だ。
その猫の名前は『シキ』。
眠り猫の置物で、図書委員の卒業生が作成して寄贈したという。
『最近、図書室にいると『にゃ~』って鮮明な猫の鳴き声がまれに聞こえるらしい。置物ながらも、シキが化け猫になって鳴き始めたのではなかろうか』
最近、シキにそんな噂が流れ始めたのである。
そのためなのか、普段は図書室に来ないような学生までが図書室を訪れ、本などに目もくれず、眠り猫のシキを見に来るようになった。
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