毒親に振り回された子のお話

プロローグ

女が一人と男が二人。
馬鹿な女が巻き起こした最低な事実。

二股をしていた女はやがて子供を身籠る。
その子供の父親は被差別部落の出身。
その男とこれからの人生をやっていく自信が無い臆病な女は、身籠ったことも告げぬまま関係を切り、付き合いの長いもう一人の男に泣きつき、二人で育てることにした。

二人は結婚した。

やがて男児が生まれる。
種が違うとはいえ、夫は赤子を可愛がり、また赤子も夫によく懐いた。
夫は家族のために働いた。

その内に妻は第二子を身籠る。
生まれた女の子は正真正銘夫の子供。
血の繋がらない男児と、血が繋がっている女児。
夫である男は決して出来た人間とはいえない。
子に向ける愛情はどちらに傾くかなど、少し考えれば想像がつくはずだ。

生半可な覚悟で種の違う子供を育てた選択は、間違いでしか無かった。