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ルイ十四世は、イライラした口調でダルタニャンにたずねた。
「マルグリット様(ガストンの妻で、マリーの母親)が、年頃の娘になったマリー様が花の都のパリで生活することによって立派なプリンセスに成長してくれることを期待して、送りだしたそうです。アンヌ様もマルグリット様の考えに賛成して、『パリに来た時は自分を頼りなさい』という内容の手紙をマリー様に送っていたとのことです。しかし、パリに来る途中で盗賊におそわれ、家来は侍女のサラという娘一人だけになって相当苦労したようでして……」
とても賢そうで純粋な姫であるマリーに好意的なダルタニャンは、ルイ十四世がなるべく彼女に同情して優しく接してくれるように、マリーとサラがどれだけ大変な目にあってパリにやって来たかを語った。だが……。
「オレは会わないぞ! マリーを王族の一員として宮殿に迎え入れるつもりもない! 母上には、マリーをヴァル・ド・グラース教会の中に入れてはいけないし、いっさい経済的支援をしてはならないと伝えろ! あと、パリにいたければ勝手にしてもいいが、シャサネンとかいう弁護士の助手をずっとやっていろとマリーに言っておけ!」
ルイ十四世はそうまくしたてた。
「……王様! なんと心のせまいことをおっしゃるのですか! ご自分のいとこを家族として温かく迎えることもできないのですか! 嘆かわしい!」
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