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さて、ルイ十四世は、パリの重要な防衛基地のひとつであるシャトレ砦に向かい、兵士たちの訓練を視察した。
王様にとって、国民や兵士たちの人気取りも大切な仕事である。国民や兵士たちが「王様なんて嫌いだ!」と言い出したら、反乱が起きてしまうおそれがある。だから、たまにはパリ市民たちの前に姿を見せたり、兵士たちの訓練を見てあげたりなど、国民や兵士たちが王様のことを忘れないようにしないといけなかったのだ。
「王様、おつかれさまです。本日の訓練はこれで終わりです」
砦の守りを任されている守備隊長のボワッセがそう言うと、ルイ十四世は「うむ」とうなずき、
「ところで、例の物はちゃんと用意しているのだろうな?」
と、ボワッセにたずねた。
「はい、もちろんです。今夜はどうぞこの砦でゆっくりしていってください」
「むふふ……。では、そうさせてもらうとしよう」
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