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騒音がビルの合間を花火のように打ちあがっては、姿なき通り魔として人々を苛んでいる。文字どおり身を切られるような寒さ。東京の冬は風が強い。
僕は厚着が大好きだ、どうしても薄着になれない。今は寒いからともかく、夏であっても身軽になることを許せない。先日はついに「あんた、歩くクローゼットって感じ」と栄誉ある称号をいただいた。
僕は歩くクローゼット。ともなれば風に吹かれ、空へ舞いあがることもないだろう。これで安心して出歩ける。
一般的に人間は木枯らしやその程度で飛べるわけがない。あたりまえだと……思っていた。
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