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「おーーーーーい!!」
ん?
「俺だよ俺!カイト!ねぇ何隊?俺はb!」
「…分からない。ーー自分の苗字を忘れた」
「えーーーーあった。君は、悲水 亜希斗、ひすい、あきと。じゃあb隊だ!やった!俺と同じ!!」
「カイト・・・これ何?」
「履歴書だって。隊長からもらった」
あれから、カイトがーーちょっとまってて!すぐ戻る!!ーーと言い、十分もせず戻ってきたその手にあったのは、履歴書、というらしい紙。気持ち悪いぐらい俺の事が詳しく書かれていて、俺の本名はそれでわかった。長いこと呼ばれなさすぎて分からなかった。
「あ、ちなみに俺は 祈 魁斗。カイトでいいよ!」
「・・・しかし、何で俺がb隊だと分かったんだ?」
「へっへー。俺、昔っから記憶力だけはいいんだ。覚えてないこととか、俺はだいたい覚えてるから聞いてよね!」
「・・・わかった。ありがとう」
祈、魁斗・・・どこかで、・・・?
深く掘られて行く思考にかける声。
『ーーー緊急収集。a、b隊。食堂まで』
(ーーーーなんだ?初日から呼び出しとは)
集まっている奴らも、どこか不満そうな、浮かない顔だ。
集まった兵の前に立ったのは、龍皮隊長だった。
「ーーー皆、急に済まないな。突然だが、今日の夜にアメリカ軍との親睦会がある。この後時計を全部屋に掛けに行くから、8時になるまでに、この食堂に集まってくれ。いつどこに敵がいるかも、スパイがいるかもわからないんだ。では、気をつけて生活し、また、いつでも出兵出来るようにしておいてくれ。以上だ」
「ーーそれだけのために収集したのか?」
「放送でもいいだろうに」
「いや、少しでも聞く人数を減らし、スパイとやらに伝わる確率を下げるためだろう」
そんな会話が嫌でも入ってくる。
「ーーいやー、こういうのって物語とかだと、俺が主人公ならアキトが、アキトが主人公なら俺がスパイってオチだよね?まぁあるあるネタすぎて笑っちゃうけど!」
ハハハハハッ、と呑気に笑うカイト。俺もこいつを疑う気は無い。なんというか、こいつじゃあない、と本能が全身に言う。スパイだと思えば、全身に否定される。そんな感じだ。違和感がそうさせるのか。
「部屋はどこだろうな?。ーーあ、ドアに名前が書いてある。隊ごとにまとまってるのかな?」
「そうみたいだな・・・お、これか・・・?」
『悲水・祈・林芽』
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