1 薄月夜

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ゾクゾクした。興奮した。もうこれ以上に俺を昂らせるモノは無いと思ったが、今は一人用の檻に入れられて、代わり映えのしない日々。 けどソレは間違いだったようだ。 『監獄の中の諸君。ご機嫌よう。朗報だ。憲法改正による恩赦を受けられる事になった。』 ーーーーーーー・・・? ここは日本随一の刑務所。そう簡単に恩赦などくだらない筈だが・・・? 刑務所の住人も、耳を疑っているのか、驚きに言葉を無くしたのかーーまた、そんな事有り得ないとタカをくくっているのか。一人も言葉を発するものはなく、放送越しの放送室のノイズや息を吸う音がうるさい。 『しかしーー恩赦を頂けるのは一人だけだ。そのために、これから諸君には恩赦を受ける者としての座を争ってもらいたい。ーーその恩赦とは』 『刑務所から出してやろう』 所詮、犯罪者なんてそんなもんだ。 後先なんて考えない。だから『そう』なるんだ。 手を打ち歓声が刑務所に充満する。諦めていた顔は何処か、希望に満ち溢れた顔だ。 『フフフーーー争いといっても、『出来るのならば』話し合いでも構わない。要は、絞られた一人がこの放送室まで来てくれればいいんだ。まあ一応、武器は三十人分用意してある。ーー欲しいか?』 「馬鹿言え!話し合いなんかしねえよ!」 「武器だ武器をよこせえ!おれが、『一人』だ!!」 「もったいぶんじゃねえ!!さっさと争いとやら始めろやあ!!」 『ああ、済まない。では』 ーーーーーーーーーーーーーー!!! 武器の雨。 鈍色の刃が迫る。
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