1 薄月夜

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がちゃり。 鍵が開く音がした。牢の鍵か。 『では、失礼したーーー これは『コロシアイ』だ。脱獄の鍵を奪い合い給え』 これを聞いて叫ぶような馬鹿はもう死んだ。 脱獄の鍵を奪う。目的はそれだけだ。 勿論裏があることは知っている。のうのうと脱獄させるわけがない。それを知った上で、俺は自分の正義を貫こう。 背後に回り込んだモノの頭を握ると、蛇口を手で覆った様に脳味噌が散乱した。 そしてーー現在。『コロシアイ』開始から5日後。 「ーーーお前か。『コロシアイ』から生き残った者は」 ーーーーーーーーーーーーーーーー。 「如何した。罪の重さに耐えかねたか」 硬い服を纏う所長が言う。 (ーーーー罪?) 「罪?なんで?俺は知らなかったなァ、こんな興奮する時が来るなんて、ねえ俺をもう一度捕まえとくれよ・・・そしてまた俺を『コロシアイ』に」 パンッ!! 流れを阻む様に両手を打つ。 「ーーーいいだろう。しかし一部は飲めん。」 「本当か?」 「あぁ我々も元からそのつもりだーーー『コロシアイ』に参加してもらう。これを見ればわかるだろう?」 ーーーーーかい、けん?憲法が変わるらしい。そして、 「『コロシアイ』ってのは、この戦争のことか?」 「物分かりがいいと助かるな。そうだ。お前には、我が軍ーー東軍の兵士になってもらう。刑務所でコロシアイを行い、生き残り一人を兵士として『脱獄』させる。このプロジェクトは日本中で行われている。お前達は生きていてもしょうがない。リサイクルだよーーそして、今から向かうのは兵士の基地だ。そのあとで指示が下るだろうから、従え」 「質問は一つーー殺せるかい?」 「あぁ、殺せるさ。好きなだけな」 「乗った」 国の兵士。その頃俺は、『コロシアイ』の快楽を覚えてしまったせいで、自分の正義はコロシの快楽とイコールで結ばれていたのである。
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