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がちゃり。
鍵が開く音がした。牢の鍵か。
『では、失礼したーーー
これは『コロシアイ』だ。脱獄の鍵を奪い合い給え』
これを聞いて叫ぶような馬鹿はもう死んだ。
脱獄の鍵を奪う。目的はそれだけだ。
勿論裏があることは知っている。のうのうと脱獄させるわけがない。それを知った上で、俺は自分の正義を貫こう。
背後に回り込んだモノの頭を握ると、蛇口を手で覆った様に脳味噌が散乱した。
そしてーー現在。『コロシアイ』開始から5日後。
「ーーーお前か。『コロシアイ』から生き残った者は」
ーーーーーーーーーーーーーーーー。
「如何した。罪の重さに耐えかねたか」
硬い服を纏う所長が言う。
(ーーーー罪?)
「罪?なんで?俺は知らなかったなァ、こんな興奮する時が来るなんて、ねえ俺をもう一度捕まえとくれよ・・・そしてまた俺を『コロシアイ』に」
パンッ!!
流れを阻む様に両手を打つ。
「ーーーいいだろう。しかし一部は飲めん。」
「本当か?」
「あぁ我々も元からそのつもりだーーー『コロシアイ』に参加してもらう。これを見ればわかるだろう?」
ーーーーーかい、けん?憲法が変わるらしい。そして、
「『コロシアイ』ってのは、この戦争のことか?」
「物分かりがいいと助かるな。そうだ。お前には、我が軍ーー東軍の兵士になってもらう。刑務所でコロシアイを行い、生き残り一人を兵士として『脱獄』させる。このプロジェクトは日本中で行われている。お前達は生きていてもしょうがない。リサイクルだよーーそして、今から向かうのは兵士の基地だ。そのあとで指示が下るだろうから、従え」
「質問は一つーー殺せるかい?」
「あぁ、殺せるさ。好きなだけな」
「乗った」
国の兵士。その頃俺は、『コロシアイ』の快楽を覚えてしまったせいで、自分の正義はコロシの快楽とイコールで結ばれていたのである。
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