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「汚ぇ、食いながら喋るな。この近くで祭りは、無かったはずだが」
草津さんは、野々村さんの頭をノールックで、しばきながら考える仕種をした。
これもデジャヴです。
義治さんは、静かにお茶をすすり、二人の話を要約して私に聞いてきました。
「その格好は、どうした?」
「似合いませんか?」
義治さんの顔を見れば、答えなんて分かっているけど、ちょっと意地悪をして聞き返してみました。
義治さんは、首を横に振りながら「いや」と短く答えてくれました。
義治さんが照れていることが分かった私と草津さんは、顔を見合わせて笑いました。
野々村さんは、分からなかったのか、元来、他人に興味を持たないのか
「そんなことないよ~。すっごく、似合ってるよ~」
と褒めてくれました。
草津さんも
「ベッピンさんが、めかしこむと、さらにベッピンさんだな。なぁ、花宮!」
と義治さんを代弁するような言い方をした。
義治さんも「そうだな」って言ってくれて、こっちが気恥ずかしくなりました。
それから、古傷が痛まないか聞いたり、聞かれたりと、ゆったりと雨の日を楽しみました。
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