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あ、め
雨が降ると僕はとても悲しくなる。小さい頃、お母さんが「雨が降る時は誰かが泣いてる時なのよ。」と話していたからだと思う。僕の知ってる人か、それとも全く接点のないような知らない人か。それすらわからないのに、誰かが泣いてると思うと何故かとても悲しくなった。小さい頃体が小さくて幼稚園の子に苛められて毎日泣いていたから、自分とか、他の誰かが泣いてるのを見るのは嫌いだった。
雨に種類があるのを知ったのは小学校に上がってすぐくらいだ。雨が降っても嬉しく思う時が、少しあった。太陽が出ている時の雨。じいちゃんが”狐の嫁入り”と呼んでいた雨。それは誰かが、もしかしたら嫁に入った狐が”嬉し泣き”してる時なのだと、じいちゃんが言っていたのだ。だから僕も嬉しくなるんだ。小学校の入学祝にじいちゃんがランドセルを買ってくれて嬉しかった時、悲しくないのに、嬉しいのに不思議とぽろぽろ涙が出た。それから、嬉し泣きだけは唯一好きな涙になった。
「おかーさーん!洗濯物取り込まないと、雨降っちゃうよー!」
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