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1限目は担任の授業だ
西上の事情を知っている数少ない人物だ
「あの日」に関しては本人の希望で
基本公開しないようにしている
出来ればあまり思い出したくない、そういう事らしい。
うちの所の担任は割と適当で
そして面倒くさがり屋でもある
しかし話は面白い、授業のテンポが良いと生徒間では、かなりの評判を誇っている。
それに拍車をかけるのが面倒見の良さだ
授業の内容が理解出来ない人が出た時は個別で答えるし、しかもそう言う人物を見つけるのが得意らしく自分からちょっかいをかけに行く。
生徒の嗜め方も上手いと自分は思う
「飴と鞭」なんて言葉が有るが、それを上手く使いこなしている。今も……
「宿題忘れたのか?」
「はい」その女子生徒がか細い声をだす
「なら、この問題が分かるか?」
即席で問題を出す。
少し悩んだ後「分かりません…」そう返した
「ならこの範囲を自主的に解いてこい、後日、皆に2、3問もう一度似た問題を出す。ここは基礎範囲だから分からないと後々苦労するからな。皆もここはきっちり抑えておくように」
それだけ言うと、授業に戻って行った。
そうしていつも通り、終礼をしてチャイムがなる前に授業を終える。
皆が思い思いに動き出す
その時、遠くから「手伝ってくれないかー」とそんな声が聞こえる。何時もの間延びした担任の声だ
そこではいつもの様に西上が手伝っていた
「いつも手伝ってもらってすまないね」
「いつもの事です。構いませんよ」
「…そうか、無理だけはするなよ」
そんな会話をしながら教室を出ていく
あの行為はただ都合のいい手伝いをさせてるだけか、気にかけての行為かは相変わらず分からない
はたまた、両方か
相変わらず生真面目やな、断ればええのに
とか思いつつ、他のクラスメイトとかとだべりつつ短い休み時間を終えるのだった
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