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正月の話は徐々に、父親の容態に移り、雲行きが怪しくなっていた。
義兄は、呆けた舅がいつ死ぬのか、かねてより、指折り数えていた。
この計算高い男は、自分の妻が相続する遺産を、今から財産目録に登録して、ポートフォリオまで作成していた。新吾はこの義兄が、大嫌いであった。
さらに、新吾は、離婚歴があり、子どもがいなかったから、毎年毎年、お年玉は甥姪に、むしられるだけむしり取られていた。今年も新年早々、彼らは、新吾の周りをハイエナのようにうろついている。
おまけに、子どもが中学に入るというので、弟は学費までせびりに入った。
それなのに、呆けた父親の面倒は、一切見ない!
新吾に全てを任せ、そのくせ、遺産の分け前は主張する!しかも、まだ、その父親は死んでいなかった…
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