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気がつけば道はいつも通り。綺麗なひとも、舞ったはずの花びらすらも消えていた。
代わりにいつもの小人さんが、小さな首を目一杯使って私を見上げている。
手を差し出すと、ぴょんと飛び乗った。
「私、獲物なの?」
冗談混じりに問いかけると、困ったように首を傾げる。その様子は無垢な小動物のようで、私は思わず笑ってしまった。
あのひとは何者なのか。小人さんは何者なのか。私のことをどう思っているのか。
疑問は無数に浮かぶけれど、いつも通りの小人さんを見ていると消えていく。
「ありがとう、小人さん」
せめて、お礼を言った。
助けてくれてありがとう。私と仲良くしてくれてありがとう。そんな気持ちを込めて。
小人さんは、私の神様なのかもしれない。なんて、考えながら。
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