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――――神とは、現象である。
例えば風、例えば火、例えば空。それらは、すべて神がもたらしたものである。
この世に唯一神なるものは存在しない。何故なら「唯一」など一つも存在しないからだ。数多の、数えきれないほどの一により、神に個はない。消え失せている、と言ってもいいだろう。
故に、神とは全てなのだ。人が作ったもの、人の前、類人猿ができた理由。全ては神の思し召しと、言える。
だが、神は話さない。
当たり前だ、神は、現象であるがゆえに。私たち人間がどれだけすがり、私たち人間がどれだけ頼り、貢物を献上し、日々の感謝を述べようと。神はそれに言葉を返さず、行動で示したりも、しない。
神は助けない。
当たり前のことだ、神は、現象であるがゆえに。神に頼んでも、縋っても。神は助けない。神は、現象であるがゆえに。
神は見捨てない。
当たり前のことだ、神は、現象であるがゆえに。神は人を見ていない。人を見ていないが故に、人を見捨てない。
耳を傾けても、目を凝らしても、感覚を研ぎ澄ませても。神の声は聞こえない。
神とは、あるがままが神である。
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