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自分だけで解決する、と思ってはみたものの、猿渡はその後の行動に悩んでいた。しかし、狼煙間に直接“矢木に手を出すな”、などと対決を挑むのは無謀だ。そこで、猿渡は矢木と狼煙間を引き離す作戦に出た。
「矢木さん、帰りましょう」
放課後。猿渡は2年の矢木の教室まで出向き、矢木に声をかける。
「さ、猿渡? お……おう……いいけど」
矢木は今までにない猿渡の訪問に驚きつつも、すんなりと頷いた。
「あ、でも、狼煙間がな……」
「……矢木~……」
狼煙間は、矢木の後ろの席から、射殺すような視線を向けてくる。
「狼煙間も一緒でいいよな?」
「……まぁ……」
猿渡はしぶしぶ頷く。矢木と狼煙間は同じクラスだから、猿渡もどうせこうなる気はしていた。だがまさか、自分がいれば狼煙間も大胆には動けまい。狼煙間のストッパーの役割は果たせるはずだ。
「じゃあ、帰るか」
矢木は不満げな二人に苦笑し、鞄を肩に担いだ。矢木と猿渡は帰り道を並んで歩き、ZOOにおける戦略的な話から、学校の話、近くの不良たちの事など、さまざまな話で盛り上がりつつ、先を歩く。狼煙間は、後ろから二人に鋭い視線を送り、二人を監視していた。
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