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「お前、頭良かったろ? わざわざ教わらなくても自分でできるだろ」
「こないだの中間テストで成績下がったんです。俺一人じゃ自信なくて」
猿渡がいかにも困ったように声を落とすと、矢木は後輩の役に立たなければ、と責任感を煽られたらしく、遠慮がちに頷く。
「……まぁ……お前がそこまで言うんなら」
それでも、矢木はやはり困ったように眉を寄せ、首をさすった。
「しっかし、1年の教科書なんて久しぶりだかんな~」
「少しずつでもいいので、お願いします」
猿渡に熱心に頼みこまれ、矢木はしぶしぶ承知する。猿渡は、ほっとしたように頷き、笑顔を見せた。
「じゃあ、さっそく明日から」
「ぅおぉ……やる気だな……」
矢木は突然の事に戸惑っていたが、まぁいいけどよ、と頷く。猿渡はしてやったりとガッツポーズを決めた。そんな猿渡を、狼煙間は恨めしそうに睨んでいた。
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