第2章 解決

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「お前、頭良かったろ? わざわざ教わらなくても自分でできるだろ」 「こないだの中間テストで成績下がったんです。俺一人じゃ自信なくて」  猿渡がいかにも困ったように声を落とすと、矢木は後輩の役に立たなければ、と責任感を煽られたらしく、遠慮がちに頷く。 「……まぁ……お前がそこまで言うんなら」 それでも、矢木はやはり困ったように眉を寄せ、首をさすった。 「しっかし、1年の教科書なんて久しぶりだかんな~」 「少しずつでもいいので、お願いします」 猿渡に熱心に頼みこまれ、矢木はしぶしぶ承知する。猿渡は、ほっとしたように頷き、笑顔を見せた。 「じゃあ、さっそく明日から」 「ぅおぉ……やる気だな……」 矢木は突然の事に戸惑っていたが、まぁいいけどよ、と頷く。猿渡はしてやったりとガッツポーズを決めた。そんな猿渡を、狼煙間は恨めしそうに睨んでいた。
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