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「その……まず、ありがとうな」
助けようとしてくれて、と、矢木は礼を言う。
「でもな、その……なんつうか……」
付き合ってんだ、俺達。と、矢木は呟いた。
「付き合って……!?」
猿渡は瞠目し、矢木の顔を凝視した。矢木は、じっと見つめてくる猿渡の視線に耐えられず、赤くなって顔を背ける。
「ん。……ていうか、俺から告った……みたいなとこもあるし……」
矢木は言いにくそうにもごもごと言い淀む。
「無理やり……じゃないんだ、別に。俺も、その……狼煙間の事が……好きだから」
矢木は、自分で言っておきながら、盛大に耳まで赤くなって俯いた。
「……やっぱ、こう言うのって、お前から見たら気持ち悪いかもしれねーけどさ……」
「んな事ないですよ」
猿渡は、鳩が豆鉄砲を食らったような呆然とした表情で、ぼそっと呟いた。矢木はちらりと猿渡の顔を見て、少し安心したように口角を上げる。
「……そっか……」
猿渡は、しばらくの間黙っていたが、不意に気持ちを切り替えるようにため息をついた。
「は~……そんなことより、ダサいな、俺」
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