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とあるゲーセンの奥、元は従業員の休憩所だった個室の中で、矢木と狼煙間が隣り合って座っていた。しかし、矢木は狼煙間を避けるようにじりじりと下がり、狼煙間は矢木に覆い被さらんばかりに身を乗り出している。
「おい、狼煙間! ここではまずいって!」
矢木は、顔を寄せてくる狼煙間を押し返し、辺りを見回した。
「あいつ等、もうすぐ来るしさ……人目あんだから!」
ゲーセンなんて人の多い場所で、誰が見ているとも分からないのだ。しかし、狼煙間はそんな事には一向に頓着する気配がない。
「させなかったら、がっつり本番までやんぞ」
「!」
狼煙間の脅しに、矢木は赤くなって動揺する。
「今すぐトイレにお前引きずってくからな」
「や、やめろってマジで!」
矢木のフードを掴む狼煙間に、矢木は慌てて向き直った。狼煙間は相変わらずの俺様だ。逆らえば、もっと事態がこじれることになる。
(しっ、仕方ねぇな!)
「い、一瞬な! 一瞬だからな!」
「ん」
矢木は赤い顔でじっと狼煙間を見つめ、やがてゆっくりと目を瞑った。
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