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「あれ? どこ行ってたんスか?」
犬井はあの後遅れてゲーセンに来ていたようで、わびのつもりなのか、狼煙間に自販機のアイスを奢りながら、矢木にもアイスを差し出す。矢木は苦笑して呟いた。
「いいわ。自分で食えよ」
「う~す!」
犬井はそのアイスを頬張りながら、上機嫌だ。
「……狼煙間」
矢木はちらりと狼煙間を見て、狼煙間は恨めしそうに矢木を睨んだ。矢木はそそくさと視線を逸らし、猿渡に笑いかける。
「あ、さ、猿渡もアイス食うか。奢るぞ」
「あっ! ずるいっスよ矢木さん!」
犬井は、猿渡だけ矢木にアイスを奢ってもらうのが悔しかったのか、不満げな声を上げた。
「じゃあ、犬井にも奢るって。でも2個も食うのか?」
矢木は少し呆れたように眉を上げたが、犬井は得意げに頷いた。
「全然食えますよ!」
その間、狼煙間がじっと矢木を睨んでいたのを、猿渡は神妙に見つめていた。
結局その日は、何事もなかったかのように予定通りの遠征をこなし、解散した。
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