2人が本棚に入れています
本棚に追加
正門前にはもう車が着いていた。運転手さんがわざわざ出てこようとする前に、ノイマンさんは僕にドアを開けさせた。
「ありがとう、悟。お礼に今度家に招待するわ。一緒にランチでも食べましょ」
「あ、うん……ありがとう。ノイマンさんも、気を付けて……」
何だか会話になっていない返事をすると、彼女はくすっと笑って、どこか悪戯っぽい目で僕を見た。
「アリスよ」
「え」
「アリスでいいわ、悟」
バイバイ、と手を振ってドアを閉め、アリスは窓越しに可愛らしくウインクした。
滑るように走り出した車をぽかんと見送る僕の顔は、なぜか少し火照っているようだった。
最初のコメントを投稿しよう!