赤い靴

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 確かどこかヨーロッパの国の出身で、小さい頃に家族で東京に移り住んだらしい。でもノイマンさんは身体が弱くて、田舎でゆっくり治そうとお母さんとここに越してきたという。  家はお金持ちで、ノイマンさん達がこの村で暮らすための豪邸をぽんと建ててしまった。僕も近くを通りかかったことがあるけど、こんな田舎には似合わないくらい大きくて豪華な洋館だ。  そんなことを思い出しながら意味もなく突っ立っていると、ノイマンさんの方が気付いてゆっくりと振り向いた。小さくて白い顔と、蒼い目。僕はどうしてか、小さく息を呑んでいた。  こちらをじっと見つめていたノイマンさんが少し首を傾げたことで僕は我に返って、慌てて口を開いた。
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