赤い靴

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「え、っと、何、してるの?」  するとノイマンさんは細い人差し指をすっと空に向けて、 「迎えのUFOが来るのを待っているの」 と言ってにっこり笑った。 「ゆ、UFO……?」  意味がわからなくて困惑する僕に、ノイマンさんも「あら?」というように首を傾げる。 「クラスの男の子達は私のことを『宇宙人』と呼ぶから、少しシャレを利かせてみたのだけど」  そう言われて、僕はある光景を思い出した。  四時間目の体育が少し長引いた日、五年生の教室の前を通りかかった時、ドアの窓から見えたのだ。みんなが机を寄せ合って楽しげにしている中、金髪の女の子がぽつんとひとりで給食を食べているのを。  何だか胸がもやっとした。数歩近付いて、僕はもう一度訊ねた。 「本当は、何をしてるの?」  すました顔で、彼女は答える。
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