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「本当に迎えを待っているのよ。いつも車で送り迎えをしてもらっているから。でも今日は遅いのよね。何かあったのかしら」
そう言って十メートルくらい離れたところにある正門を見るノイマンさんの横顔を見つめながら、自然と口が動いた。
「……アリス・ノイマンさんだよね。五年の」
「ええ」
「……身体が弱いから、しばらく田舎で暮らすことにしてここに来たっていう」
「あら、そうよ。よく知っているわね」
この村じゃ何でも筒抜けなのね、と苦笑する顔は、年下とは思えないくらい大人びていた。それを見ると僕の胸はなぜかちりちりと落ち着かなくて、思わずまた開かなくていい口を開いていた。
「……クラスで、嫌な目に遭ってるの?」
「……」
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