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凛とした声で、真っすぐな瞳でそう言う彼女は強いはずなのに、どうしてかほんの些細なことで簡単に崩れてしまいそうにも思えて、僕は俯いた。
その視線の先に見えたのは、赤色の靴。濡れて暗い色のアスファルトの上を、鮮やかな色で規則正しく真っすぐに進んでいく。
綺麗だな、と思った。
「……あ、」
「え?」
「ノイマンさん、こっち。水溜まりがあるから。……綺麗な靴、汚れてしまう」
大きな水溜まりの手前で肩を抱いて引き寄せると、また蒼い目が僕を見て、そしてふっと柔らかく細められた。
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