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買い物してきた連中が穏やかに、でもそれなりに賑やかにテーブルにいろいろ広げている。それを二人で眺めていた。
リッキーがそっと手を握ってくるから僕も握り返した。
見たことも無い、女の子のシェリー。絶えずその肩に腰に手をやる優しい顔のエディ。消化できなくったって見ている僕はとても幸せで。
頬にキスされて、リッキーの指輪にキスを落とした。
食べたばかり。薬も飲んだし。ひんやりと両脇が冷たくて気持ち良くて。いつの間にか僕はそのお喋りの中で眠くなっていた。隣にいるリッキーが頬を撫でてくれた。
「僕のリッキー……」
「なんだ? 俺のフェル」
「お前は一人じゃないからな……」
「分かってる。お前がいる」
「うん……僕がいる……」
「そのまま眠れよ。俺、そばにいるから。みんなもいるから」
「リッキー……」
「俺、いるから。ずっと支えていくからな」
「僕も……支えるから……」
お前がいれば大丈夫だよ
僕にはあんなもの、もう必要ない
お前のためならなんでも…………
――第五部[帰国] 完
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