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「ん、んーー痛!!」
腕を伸ばそうとした時、思いっきり何かに手をぶつけた。その痛みで目が覚めると、理彩はゆっくりと体を起こした。
えっと……なんでソファに寝てるんだ? 確か昨日はえりこの結婚式で……!!
「あ、起きられました?」
「あ、あの!! 私……」
謝るのが先か、お礼が先か慌てていると、ぐうっと理彩のお腹が鳴った。それを聞いてクスッと笑うと、かなえは言った。
「良ければスープ、飲んでいきますか?」
ああ、恥ずかしい……。初めてのお店でいくら気持ちが弱っていたからって、酔って寝るなんて。しかも結構愚痴ってしまったような気がする……。
「どうぞ。冷めないうちに」
「ありがとうございます。あの、昨日は……すみませんでした」
「何がですか?」
不思議そうな顔でそう言われ、思わず何でもないと理彩は答えた。
迷惑、だったはずなのに。客だから迷惑でもそんなこと言えないか。でもこの人……初めて会った時から思ってたけど、雰囲気がすごく柔らかくて、笑顔が優しすぎて……何でも受け止めてくれるような。
じっと見つめる理彩の視線に気付くと、かなえはにこりと微笑んだ。
裏表がないような、そんな気がする。って、会ったばかりなんだけどね。
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