初めてのお客様 安西理彩様

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 こんな所にお店なんてあったっけ? レストラン? 何だろう。  その灯りに誘われるように近づくと、看板の名前を確認する。 「気まぐれアリ、読めないし。家にはまだ帰りたくないし、寄ってみるかな」  理彩はゆっくり扉を開けた。開けた瞬間目に飛び込んできたのは、脚立にのぼり天井からぶら下がっている照明をいじっている女性だった。 「あ、いらっしゃいませ」  女性は理彩に気付くと、ふわりと柔らかな笑顔で出迎えた。脚立から下りると、理彩をカウンターへと促した。  え、いきなりカウンター席? テーブル席でいいんだけど。  そう思いながらも言えず、案内されるままカウンターの席へと座った。カウンターの椅子は木のアンティーク調の物で、背もたれが意外にもしっかりしていることに座り心地の良さを感じた。 「いらっしゃいませ。私、店主のかなえと言います」 「はぁ」 「すみません。このお店をopenさせて初めてのお客様なので。嬉しくてついここの席に案内してしまいました」  初めての客なんだ。それにしても、この人可愛いなぁ。すごい嬉しそうに笑う顔が、なんか癒される。 「どうぞ」  おしぼりと水を置くと、メニューを手渡した。 「メニューの中の物でもいいですし、何か食べたい物があれば材料次第で作りますから」  
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