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「本当に、本当に嬉しいんですよ?だって親友の結婚だから……。でも、でも、ですね。私だって……二年間も頑張ってきたんですよ? なのに、なのに、なんで私は出逢えないんだろう……」
「理彩さん、これ良ければサービスです」
「ありがとう……ございます」
つまみを片手に理彩は、まるで常連客のようにかなえに話を続ける。ただそれをにこにこと笑顔でかなえは聞いていた。
「二年間ですよ? 分かります? 二年間!! 私は二十七歳からの二年間を婚活に費やしてきたんです。お金もかなり使いましたよ……。それでも、好きな人も出来なくて……なのに、えりこは……。えりこも一緒に頑張ってきたんだから、いいんですよ? でも私……一人になっちゃって」
「寂しいんですか?」
「……寂しい。嬉しいけど……寂しいんです。でも……それだけじゃない、私って……本当に最悪なんです。ズルいって……そう思ったんですよ。私だって、こんなに頑張ってるのに……先に出逢えるなんてズルいって。えりこのせいでもないのに……。もう正直、婚活なんてしたくない!! でも……しなきゃ、出逢えないんだから」
「本当に頑張ってきたんですね」
「ほんとーに頑張ってきたんです。もう嫌で嫌で仕方ない時もありますよ。楽しくない飲み会も、知らない人とずっと話すのだって疲れるし……親もうるさいし」
「親はいつまでも心配しますものね」
テーブルに肘をつきながら、真っ白なカクテルを見つめる理彩。そのグラスに映る自分の姿をなんとなく眺めながら呟いた。
「私……両親が三十八歳の時にやっと出来た一人娘で……可愛がられて育ちましたよ? でも父が亡くなってから、母親は早く花嫁姿が見たいとか、孫を抱きたいとか……そんな台詞ばかりで。私だって……この歳まで独身だなんて思わなかったし……」
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