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「理彩さん、おいくつなんですか? まだ二十代ですよね?」
「……二十九歳です。あと二週間で三十になりますけど」
「もうすぐですね! おめでとうございます! って、言うのは早いですね」
いつもなら嫌みに聞こえそうな台詞も、不思議とかなえが言うとそうは聞こえなかった。
「おめでたい、ですかねぇ。それに最悪なのはそれだけじゃないんですよ。結婚式に……新郎の友人席に元カレがいて……アイツ結婚してたんです。
私と別れた時何て言ったと思います!? 理彩は結婚したいみたいだけど……俺は結婚願望がないから、一緒に居ても……望みを叶えてやれないって。なのに!! 結婚してたんです!!」
「それは悲しいですね……」
「悲しいを通り越して……ムカつきました。私は別れてから……好きな人さえ出来なくて……毎日が重たくて仕方ないのに……。
アイツはさっさと次の恋愛をして、結婚して……私のことなんて過去で……。私も過去ですよ? でも好きな人さえ出来なくて、時間が止まっているみたいで……辛いんです。
もういっそこの人が運命の人です! って言ってくれるか、いつ、どこで出逢うか分かっていれば……ゴールが見えていれば……まだ頑張り続けることも……出来……るんです……けど」
あーやばい、眠たくなってきちゃった……何杯飲んだっけ……家に帰らない……と…………。
テーブルに顔を伏せたまま、理彩は夢の中へと向かっていった。赤くなった頬に、崩れたメイク、決して綺麗ではない寝顔を見て、かなえはお休みなさいと呟いた。
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