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「真紀は好きな人はおらぬのか?」
「え?」
なんと、突然始まる恋愛トーク。
本当にここは異世界か!?
「うーん、いないんだよねぇ。
というか、まだ、男の人を好きになるってことが、私よく分からないみたいで」
「おや、本当かの?弥生はそなたと同じ年の頃にここへ来たが、もう夫も子供もおったぞ?」
「当時と今じゃ、時代が違うの!」
私が言えば、霞はころころと笑う。
そういう霞はどうなのかと返せば、霞はさらに笑って言った。
「わらわはもう結婚しておるよ」
鬼の年齢は本当に分からない。
私が唖然としていると、
「だが、フミヤ様はお忙しくて、なかなか帰ってきてはくださらない。
それに、わらわが幼い頃からお慕いしているだけで、あの方は家同士の結婚に承諾しただけ。
いまだに、わらわのことをどう思ってるのかわかりもしないのよ」
フミヤ様と霞は幼なじみだったらしい。
幼い頃はよく互いの家を行き来して遊んでいたが、祖母が来た戦乱期で戦に出た頃から、仕事仕事の日々となり、祝言を上げてからも夫婦らしい生活はしていないと言う。
「何それ、あんまりだよ!」
私が憤慨した声をあげれば、寂しそうな顔をしていた霞は、
「ありがとう」
と笑った。
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