藍色 時間軸:大1初夏

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明がおずおずと怜のTシャツをたくし上げる。   「バンザイして」  幼稚園児に母親が言うように、明は怜に囁いた。 目をぎゅっと閉じたまま、脱力した腕を素直に上げようとする怜が溜まらなく可愛くて、黒いTシャツを一気に脱がせた。 下は既に脱がせている。   明は灯りの下、怜の全裸を初めて目にした。身に着けているものは左肘のサポーターだけ。   今まで、どれほど待ち焦がれた物だろうか。だけど、直視出来ない。 自分に組み敷かれ、怜の上気した肌は赤みを帯びていて、身を捩っているその姿は、鮮烈過ぎた。 外はまだ明るくて直視しなくとも皮膚の一部一部も生々しく否が応でも目に飛び込んでくる。 未発達に見える脇腹の白さ、まだあばらの薄く浮き出ている胸。 不自然に窪んだ骨盤からの曲線を見ても、何が自分をここまで興奮させるのか判らない。 けれど、一つ一つ全てが劣情を煽った。 これが怜だから。   一度達したけれど、萎えきっては居ない怜のモノは、全身の中で異質な感じをモロに受け、余計に淫猥さを彩っている。明は口を近づけた。   男同士の行為でも舐め咥えると明は学習をして知ったが、流石にまだ怜には衝撃が大き過ぎそうだと寸前で理性がシグナルを出し、唇を離した。 明は再び片手でそれを握り、包み込んだ。 怜を握り触れただけなのに、明自身も脈打つ激しさと共に、更に勃ち上がってくるのが判った。 一杯一杯の精神を必死で堪える。 怜は目を閉じたまま、微かな記憶の糸を無意識に辿り、太腿を閉じていた。 膝を立てると、先程自分が放った体液と汗が裏を伝い、タオルにシミを作る。雫が伝う不快感に、反射的にまた腰を浮かせた。 「レイ、今日は……違うんだ」 以前の様に、太腿で明を受け入れようとする怜を小声で制した。 (ゴメン。今日は……、挿れる) 明は声に出せず心で呟き、大きく息を吐き荒れた呼吸を整えた。 怜が怯えないように、ゆっくりと身体を割って入る。 驚き一瞬目を開けた怜にすかさずキスを落とす。 繰り返すうち怜はゆっくり長い睫毛を伏せた。露になった胸の突起に、明は唇を這わせる。 「っ……いゃ……」 明に指先と舌で怜は左右別の快感を与えられ、その鈍くチリチリとした感覚が徐々に大きくなる。 「あ、あっ、……あぁっ」 明の執拗な愛撫に、我慢していたのに以前と同じく上ずった声が止められない。 あがる息と共に、怜の四肢の力が抜けていく。 明のさらさらとした髪が舌と共に怜の胸を撫で上げ、その度肌が粟立つ。 触り心地が良い怜の脇腹に、吸い付いてしまったように撫で上げていた手を、明は怜の様子を感じ取り、下ろしてゆく。 怜の右太腿の裏に明は腕を滑り込ませ、力を失った片足を上げ、股を開かせる。 明は赤く色づいた怜の胸から顔を離し、手探りでソファの下に置いてある物を手にした。 掌の中に握り締めた物、明はチューブを開け初めて封を切る。緊張した指先が適量もわからず、溢れる程捻りだす。 初めて白日の下に晒されている怜の局部。 明は息を飲んだ。すぐさま貫きたい衝動を抑え、ゆっくり怜の後孔に指を滑り込ませる。   「……なっ、!」   しどけなく倦怠感に項垂れていた怜の身体は、跳ね上がった。 明が侵入させた指は、以前と違い液体の力を借り容易に入ってゆく。 けれど、力の入れられたそこは狭く、塗りこむように何度も掻き回し指を探りいれた。   くちゅりという耳を疑う水っぽい音が、自分の身体のあらぬ場所から怜の耳に聞こえる。 異物への不快感が大半を占めているのに、耳に聞こえる煩雑音が信じ難くて必死にかぶりを振り、怜は身体をずり上げ逃れようとする。 けれど、明の指は別の生き物のように怜の未知の部分を支配してゆく。 「アキラ、や、やめて……くれ……」 身を捩り行為への抵抗を訴える。 「レイ、痛い?」 指だけしか動かしていないけれど、高揚して微かに息を弾ませ明が問う。   「痛……くは……、」   怜は子供のイヤイヤの様に、闇雲に首を振る。 「き、気持ち、悪い……た、のむから」 明の肩をすがるように掴みながら、許しを乞う様に怜は何とか言葉にした。   「痛くない?気持ち悪い、だけ……?ゴメン。それじゃ、止められない」    
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