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焦ったような口調で返事をした明は、怜の小刻みに震えている瞼にキスをした後、ベトベトにチューブの液にまみれた中指をねじり入れた。
二本目の指を迎え入れるため、人差し指を怜の中で軽く曲げる。
「……や、やめ!」
怜が、透くような声を上げた。けれど、言葉は途中でかき消えた。
明の繊細な指が、怜の中でに蠢く。
身体に小さな生き物を放たれたとしか感じられない怜は、背筋に抜ける悪寒を抑えられず、ソファに敷かれたタオル地に何度もすり付けた。
その身体を追うように、明は長い中指を付け根まで差し込み、探る。
「!!」
怜を凄まじい感覚が襲った。
頭の中で何かが弾けたようで、手足の指先まで激しい痺れが走る。
身体を大きく反らせて放心し、明らかに様子がおかしい怜を感じ取り、明は予習した個所を確信した。
指先に全神経を集中させ、探り当てた。
「レイ、ここ?……か」
何度かかすられ、怜はもう前後不覚に陥っている。
襲う衝撃があまりも大きくて、声さえでない。
言葉が出ない口を無意識に動かし、明に触れられても居ないのに、にわかに勃ち上がっていた。
「感じるか?」
と問われても、明から与えられた波は怜の許容範囲を超えた物で、快感かどうかなんてことすら理解出来ない。
痺れ切って居る四肢は自分の意思を持たなかった。
怜の余りにも大きな様子の変化に、明は戸惑い指を止めた。
「大丈夫か?」
「……気が、……狂う……」
暫くして漸く、カラカラになった口で怜がうわ言の様に呟いた。
壊れたおもちゃのように首を振りながら、怜の目からポロポロと、感情の無い涙が零れ落ちていた。
「レイ、頼む、俺の名前呼んでくれ」
明は怜の頬に手を寄せ涙を拭い、弱弱しい声で囁いた。
「ァ……キラ」
意識が朦朧としている中、怜は掠れた声で明の名を呼んだ。
「レイ……」
明はその一言を聞いて、感情の有る涙を流した。
男の自分がセックスしながら泣く事があるなんて、明は今まで夢にも思わなかった。
不安だったけれど、自分にこんな事されても、こんなになっていても
(俺の名前を、呼んでくれた)
怜を泣くほど好きだと、思い知った。
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